日本の「Lesbian」の歴史をアーカイブとして残したい
私たちが最も力を入れてきたのが、2015年に始めた連続トークイベント「日本Lばなし 〜日本のレズビアンの過去・現在・未来をつなぐ〜」です。これは、コミュニティの内外で仕事や活動を自分らしく続けている人たちの中から、私たちが敬愛する人物をゲストとしてお招きして、その人のライフストーリーを通してその生き方に学ぶ企画です。
LGBTQ+の中で「L」が見えにくいわけ ①ジェンダー差別
2015年に東京都の世田谷区と渋谷区で「同性パートナーシップ」条例が始まったころから、テレビや新聞、ラジオなどのマスメディアで「LGBT」という言葉が日本でよく聞かれるようになりました。性的マイノリティをひとまとめにしたこの言葉は当事者のカミングアウトを増やし、「LGBTブーム」とさえ呼ばれるようになりました。ただ、この総称の中でもLは見えにくい存在です。その大きな理由は、Lが「同性愛者」であるというマイノリティである上に「女性」であるというダブルマイノリティだからです。
男女平等が叫ばれて久しいですが、日本社会では「男」と「女」は依然として不均衡です。私たちは「女性」であるだけで、そのジェンダー規範に縛られます。例えば、小学生までは男子と一緒にサッカーや野球をしていたのに、中学生になるとメジャースポーツから閉め出され、「女らしい」服装やしぐさ、言葉づかいを身につけるべきという世間の視線を浴びせられます。通学時には痴漢など性的暴力を受けやすかったり、職場ではパワハラ・セクハラに遭いやすかったり、給与や待遇の差別まで受けたりします。こういう現実は、「女性」が自分らしく自立して生きることを困難にしています。
近年は、女性ジェンダー自認ではなく「クィア」「ノンバイナリー」などを自認するゲストの方にも登場いただいています。ただ、「女性」とみなされて生きる中で直面する、ジェンダー差別の問題の構造は同じであり、私たちはジェンダー規範から自由な生き方に注目したいと考えています。
LGBTQ+の中で「L」が見えにくいわけ ②同性愛差別
さらに、「異性愛」を前提に作られたこの社会では、同性愛者は日々「いないことにされて」います。例えば、「結婚は?」「彼氏いないの?」といった異性愛前提の何気ない会話や、パートナーのことを家族や同僚、友達に紹介するハードルの高さ、カップルで部屋を借りるときに直面する困難、パートナーの緊急事態に立ち会えなかったりすることなどなど。こうした小さな傷つき体験の積み重ねが、同性愛者の人権意識を少しずつ削り取っていきます。主要7カ国(G7)の中で唯一、「同性婚」がいまだに実現していないのは、家父長制の色濃い日本社会の理解の遅れが大きな原因と言えるでしょう。
レズビアンと見なされる人の人権を否定する最たるものが、「レズビアン」表象の屈辱的イメージです。そこには「女に性欲はない」という男性優位のジェンダー規範をはみ出す者を罰する意図が強く働いています。これを表現の自由のもとに若者に押しつけ、一方、自分の性的指向に気づいた若者はこの表象への抵抗から自分自身を「レズビアン」と同一視できないという体験をくり返している現実は大きな問題です。
人が自分はこういう人間だというアイデンティティの確立に不可欠なのは他者との出会いです。それも、「自分もこんな人になりたい」という憧れと尊敬の気持ちを抱ける他者、つまりロールモデルが必要です。そんな人と出会って初めて、私たちは自分の人生を自分らしく歩み始めることができるのです。
『日本Lばなし』の講演録冊子発行の意味
「日本Lばなし」は、ゲスト一人ひとりの個人史の中に、この異性愛社会をどう生き抜いてきたかはもちろん、どのように自分の個性・才能・魅力を伸ばしてきたかという、私たちが男性優位社会から受ける生きづらさに負けず、人生を生き抜く知恵がつまっています。ゲストたちのお話を文字化してアーカイブとして残すことは、直接話が聞けなかった人たちに時空を超えて伝え、「日本のレズビアンの過去・現在・未来をつなぐ」ことになるでしょう。
これまでうかがった27組のお話は、20話まで講演録冊子2冊にインタビュー集としてまとめ、インターネット通販とパレード等のイベント会場での販売をしています。ぜひお求めください。
イベントの参加方法
- トークイベントは年に2〜3回の不定期イベントです。
- 約1ヶ月前からイベントのご案内をしています。
- 広報はこのホームページ、SNS、チラシなどを配布しています。
- 完全予約制で、チケットを事前購入
- チケットはリアル参加、アーカイブの視聴の2種類
これまでの冊子
「日本Lばなし」の内容を10話ごとに冊子化し、全国へ多様な「L」のストーリーを届けています。
現在は第3集に向けて、30話まで準備中です!
【日本Lばなし 講演録 好評販売中!】
20回分のトークをぎゅっと詰め込んだ二冊!
⚫︎購入情報
・1冊 1,500円(本体価格1,300円+送料・事務手数料200円)
・第1集(2015・2016年度)A5/110ページ/2015年4月~2016年7月開催分
・第2集(2017~2021年度)A5/148ページ/2017年8月~2021年9月開催分